ギリシャ神話とローマ神話の違いは?
ギリシャ神話からローマ神話への変化
ギリシャ神話とは、およそ紀元前15世紀頃に始まった、神々と英雄たちの物語を口承形式で吟遊詩人達によって伝えられてきたものでした。それが次第に文章となり、体系化され、紀元前6世紀頃、ギリシアの影響を強く受けたローマにおいて、「ギリシア語への翻訳」が行われ、ローマ古来の神々をギリシャ神話の神々の対応する神同士を同一視すること(シンクレティズム)が行われました。
したがって、ギリシャ神話と神の名前は違っても同様の内容の神話もあれば、ローマ神話にのみ登場し、ギリシャ神話の神と同一視されることなく存在する神もいます。もしくはローマ神話となった時点でギリシャ神話内とはちがった性質の神に変わった神もいます。
ギリシャ神話とローマ神話の違う点は?
・ローマ神話固有の神
ヤーヌス
出入り口と扉の神。前後に2つの顔を持つ。物事の内と外を同時に見ることができます。1年の終わりと始まりの境界にあり、1月を司る(Januaryの語源)神です。
・ギリシャ神話とローマ神話では性質が異なる神
アレス(ローマ神話:マルス)
ギリシャ神話でアレスは「戦いの神」でなおかつ性格も荒っぽく凶暴な神として描かれています。しかし、ローマ神話では建国者ロムルスの父とされ、篤く信仰されました。ローマ神話では、マルスはもともとあった神で、農耕の神です。農耕民族であったローマ人にとって、芽吹きの季節で農耕が始まる3月を司るマルスは重要な神でした。また、3月が軍隊を動かしやすい時期であることや戦争によってどんどん領地を増やしていくロムルス王の姿とマルスが重なり、軍神としても祭られるようになったようです。
・ローマ神話固有の物語
建国神話
建国者ロムルスの出自の物語、ローマを建国するまでのエピソードはローマ神話固有の物語です。
ギリシャ神話とローマ神話の神対応表(ギリシア名、ローマ神話での名、英語名)
ギリシア名 | ローマ神話での名 | 英語名 | |
Zeus ゼウス |
Jupiter ユピテル |
Jupiter ジュピター |
全知全能の神 |
Hera ヘラ |
Juno ユノ |
Juno ジュノー |
結婚、貞節の神 |
Hades ハデス |
Pluto プルト(ン) |
Pluto プルートー |
冥界の王 |
Poseidon ポセイドン |
Neptunus ネプトゥヌス |
Neptune ネプチューン |
海の神 |
Ares アレス |
Mars マルス |
Mars マーズ |
戦いの神 |
Hermes ヘルメス |
Mercurius メルクリウス |
Mercury マーキュリー |
商業、情報、泥棒の神 |
Apollon アポロン |
Apollo アポロ |
Apollo アポロ |
太陽の神 |
Artemis アルテミス |
Diana ディアナ |
Diana ダイアナ |
月の神 |
Athena アテナ |
Minerva ミネルヴァ |
Minerva ミネルヴァ |
知略の神 |
Aphrodite アプロディテ |
Venus ウェヌス |
Venus ヴィーナス |
愛・美の神 |
Hephaestus ヘパイトス |
Vulcunus ウルカヌス |
Vulcan ヴァルカン |
鍛冶の神 |
Hestia ヘスティア |
Vesta ウエスタ |
Vesta ヴェスタ |
かまど・家庭の神 |
Dionysus ディオニソス |
Bacchus バッコス |
Bacchus バッカス |
豊穣の神 |
Demeter デメテル |
Ceres ケレス |
Ceres セレス |
豊穣の神 |
Gaia ガイア |
Tellus テルス |
Terra テラ |
大地の神 |
Uranus ウラノス |
Uranus ウラヌス |
Uranus ウラヌス |
天空の神 |
Cronus クロノス |
Saturnus サトゥルヌス |
Saturn サターン |
農耕の神 |