古代ギリシャの衣装について

古代ギリシャの衣装について

ギリシャ神話の神々の彫刻や絵画を見ると、白い、ドレープ(ひだ)がたっぷりついた衣装を身に着けていることが多いです。これらの衣装は古代ギリシャの人々の衣装を基にしていると思われますが、一体どのような構造になっているのでしょうか。
今回は、古代ギリシャの衣装についてご紹介します。

古代ギリシャの衣装の素材

古代ギリシャの衣装の素材は、最初はウールが主でしたが、次第に亜麻布(リネン)が用いられるようになりました。中国からが流通するようになると、絹は衣服の素材として上流階級によく使用されました。

ギリシャの気候は「地中海性気候」なので、全体的に温暖で過ごしやすい気候です。気温的には東京と似ており、夏場は30℃を超えますが、湿度は低いのでカラッとしています。雨も1年間を通して少ない地域です。

このような気候ですから、体にぴたっとした服装ではなく、通気性がよい、肌の露出もある程度ある格好が適していたのでしょう。

古代ギリシャの衣装(女性)

古代ギリシャの女性の衣装は、最初、ウールの一枚布で着付ける「ペプロス」が主流でした。
「ペプロス」は、次のような構造です。

  • 身長ぐらいの幅、身長+30センチほどの長さの布を用意する。
  • 布の上部を2,30センチほど外側に折る。
  • 折った部分が表側になるように長さを半分に折る。
  • 上の縁(ふち)の真ん中から顔を出し、両肩部分にあたるところを留め金(ポルパイ)で留め、留めた部分の外側から腕を出す。
  • 腰帯(アポディズム)や下腹に巻く帯(ゾーナ)でウエスト部分を締める。

ウールの次に、亜麻布が流通するようになって、「ドーリア式キトン」が広まります。
「ドーリア式キトン」は素材が亜麻布である以外は「ペプロス」と構造は同じです。

ドーリア式の次に「イオニア式キトン」も広まります。「イオニア式キトン」は次のような構造です。

  • 一辺が身長-30センチほどの正方形の布を2枚用意する。
  • 2枚の布を、上を少し残して両脇を縫い合わせ、筒状にする。
  • 上側は真ん中を頭が出る分程を残して縫うか、留め金などで数箇所留める。
  • 上側の開いたところから頭を、左右の開いたところから腕をだす。
  • ウエスト部分を腰帯や下腹に巻く帯で締める。

古代ギリシャの衣装(男性)

男性も女性と同じ一枚布を使った「エクソミス」という着付け方をしていました。
「エクソミス」とは次のような構造です。

  • 1枚布を左肩部分で留め金等で留める。
  • 右肩は出した状態で着付ける。
  • ウエスト部分は帯で締める。
  • 身分が高い人や礼装には丈が長い衣装を着たが、職業や活動に合わせて、丈の短い衣装を着た。

また、日よけのために帽子の起源と言われているつばの広い「ペタソス」をいうかぶりものをしていました。
「ペタソス」は、ヘルメス神がかぶった姿でよく描かれています。ヘルメスがかぶる「ペタソス」には翼がついている場合もあります。

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