ギリシャ神話のアポロン、アルテミスについて。
アポロンとアルテミスは双子のきょうだいだと言われています。
詳しくは次のとおりです。
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アポロンは太陽神、その双子のきょうだいであるアルテミスは月の女神、と一般的に思われていますが、実はアポロンはもともと「光明神」であり、その特性と似ていた「太陽神」ヘーリオスと統合されて、「太陽神アポロン」となったようです。さらにその双子のアルテミスは、兄が太陽神なら、妹は「月の女神」というふうに、性質が対になるように後で付け加えられたようです
ギリシャ神話のアポロンとアルテミスの誕生には大変な苦難がありました。
ゼウスの正妻ヘラは、レトの妊娠を知ると、「一度でも太陽が照らした場所で出産をさせてはならない」とおふれを出し、かつ、出産の神エイレイテュイアを引き止めて出産できないようにしました。
また、ゼウスの正妻ヘラは、蛇の怪物ピュトンを脅して、レトを追いかけ回させました。
しかし、レトは、これらの妨害にもめげず、双子を出産します(出産直後のアルテミスがアポロンの出産を手伝ったという話もあります)。
それが、アポロンとアルテミスなのです。
アポロン、アルテミスは疫病の神?
アポロン、アルテミスには恐ろしい一面もあります。アポロンとアルテミスは弓矢が得意で、アポロンの矢は「銀の矢」と言われています。この二人にいられるとたちまち命を落としてしまうのです。
テーバイの王妃だったニオベーは、王アンピーオーンとの間に多くの子どもをもうけました。(子供の数や男女については諸説あり。5~20人と言われる)
あるとき彼女は、「女神レートーよりも、私はずっと子供の点では勝っている。女神には2人しか子どもはいないが、自分にはたくさんの子どもたちがいる」と誇りました。
それを耳にしたレートーは怒り、アポロンとアルテミスに命じて、ニオベーの子どもたちに遠矢にかけて、射倒させました。
子どもたちは次々と倒されてしまいます。(男女一人ずつが助かったという説もあります。)
ニオベーは、子どもらの死を嘆いて、ゼウスに祈り、石に姿を変えたと言われています。現在もトルコ西部にあるシピュロス山には石になったニオベーだとされる「ニオベーの泣き岩」があります。
昔の人々にとって、急に多くの命が奪われる疫病はあらがうことが出来ない現象で、まるで神の力で次々と倒れていったように感じ、それを恐れてこのような神話として語り継いできたのかもしれません。
特にアルテミスは、妊娠中の女性に苦痛から免れる死を与える神であるとも言われていました。昔は今よりもずっと妊娠出産は危険と隣り合わせだったのでしょう。その途中で命を落としてしまったとき人々は、アルテミスの矢によって、苦しさから解放されたのだと受け止めてきたのだと思われます。