ギリシャ神話のプロメテウスとは

ギリシャ神話のプロメテウスとは

ギリシャ神話のプロメテウスとは次のとおりです。

  • ティターン神族の1柱(神なので、不死身)
  • ひとを創造したとも、ひとの祖先とも言われる
  • 父はイーアペトス。母は諸説あり(アシアー、クリュエメー、テミス)
  • きょうだいは、アトラス、エピメーテウス、メノイティオス
  • 「プロメテウス」とは「先を慮るもの」という意味
  • ティターン神族とオリュンポス神族の戦い(ティタノマキア)で、ティターン神族でありながら、オリュンポス神族に味方。
  • 人間に対して情が深く、ゼウスの反対を押し切っても、ひとにさまざまなものを与えた(詳しくは次の章で説明)

プロメテウスがひとにもたらしたもの

プロメテウスがひとに与えたものとして有名なのは「火」ですが、その他にもさまざまなものをひとに与えています。

  • 家を建てること
  • 気候を予測すること
  • 数を数えること
  • 文字を数えること
  • 野獣を飼いならすこと
  • 船を作って海を渡ること

プロメテウスはひとに文化の基盤となるこれらのことを与えたと言われています。

『神系賦』には、神々と人間が祭儀のことで争ったことについて書かれています。
その時オリンポスの神々にどのように捧げ物をするべきかが問題となりました。プロメテウスはその判者の役を買ってでて、捧げ物の牛を2種類に分けて置きました。

一方は、肉と栄養のある臓物の部分を牛の皮の中に入れてその上に胃袋をおいたもの。もう一方は白い骨につややかな脂肪で十分巻いていかにも美味しそうにして置きました。そしてそれらの良い方を取るようにゼウスに勧めました。ゼウスは、骨の方を選びました。こうしてひとが美味しい肉や臓物を得られることになりました。(しかしこれは、ゼウスはわざと引っかかって、プロメテウスやひとに罰を与える口実にしたという説が有力なようです)

また、その当時のひとは火を与えられていなかったために、夜を恐れ、ものを煮たり焼いたりも出来ないため病気になっていました。それを憂いたプロメテウスは、天上の火を盗んでひとにあたえることを計画します。

大茴香(おおういきょう、実は八角やスターアニスをよばれるスパイスになる。シキミ属の常緑高木)の茎を持って天に登りました。

火を盗んだ場所は、ゼウスの宮の火処からだとも、鍛冶の神ヘスパイストスの仕事場からとも、太陽神の燃える車輪からとも言われています。こうして奪った火種を隠し持って地上に降り、ひとに火を与えたのだといいます。

こうしてひとは火を得、これを使うすべを教わり、夜も安らかに眠れるようになったのです。
しかしこれを黙って見過ごすゼウスではありませんでした。

ゼウスがプロメテウスにあたえた罰

ゼウスは、ひとに火を与えたプロメテウスに罰を与えます。

権力の神「クラトス」と暴力の神「ビアー」に命じて、プロメテウスをひったて、スキュティア、あるいはカウカソス山(コーカサス山脈)の巨岩に磔にしました。さらにヘスパイストスが鍛えたかすがいで彼を打ち付け、その胴に杭を通して、大鷲に彼の肝臓をついばませました。しかも、プロメテウスは不死であるために、夜になると大鷲についばまれた分だけ肝臓が修復し、また次の日も大鷲に襲われるという日々が繰り返されました。この刑期は3万年でした。誰かがプロメテウスのために不死を放棄すれば解放されるという条件付きでした。

この後、ゼウスの息子でもあるヘラクレスがプロメテウスがはりつけられたところに通りかかり、大鷲を弓で射たことで、プロメテウスはこの苦しみから解放されたとも、ヘラクレスがヒュドラの毒を塗った毒矢で誤ってケイローンを射ってしまい、その苦しみに耐えかねたケイローンがプロメテウスのために不死を放棄するとしたためこの罰から逃れられたとも言われています。

解放された後はゼウスと和解し、天に戻り、神々の相談役、予言者として尊敬されたと伝わっています。

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