ギリシャ神話のアルキュオネとは?
夫婦仲が良いことは素晴らしいことですが、今回はそれで調子に乗りすぎて神の怒りを買い、最終カワセミになってしまった夫婦についての神話を紹介したいと思います。
アルキュオネとケユクス
その夫婦とはアルキュオネとテッサリア王ケユクスです。
2人については、次のとおりです。
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2人は深く愛し合い、仲のよい夫婦でした。その仲はまるで全能神ゼウスと妻のヘラのようだと言われ、自身らもお互いを「ゼウス」「ヘラ」と呼び合っていました。しかしこのことが神の怒りを買ってしまします。
それからというもの、テッサリアに原因不明の天災や異変が続きました。これを神の怒りだと感じたケユクスは、怒りを鎮めるためにアポロンの神託をうけに船で旅に出ようとします。
風の神の娘であるアルキュオネは、海の恐ろしさを知っているのでケユクスが行くのを止めますが、彼はそれを押し切って出航してしまいます。ケユクスを乗せた船はアルキュオネの心配どおり大嵐にみまわれ、難破し、ケユクスはそのまま帰らぬ人になってしまいました。
そうとは知らずに、アルキュオネは毎日ヘラの神殿に夫の無事を祈り続けます。それを見てヘラはさすがに見て見ぬ振りができずに、虹の女神イリスを使者として眠りの神ヒュプノスに送り、眠りの神からアルキュオネに夫がもうこの世にいないことを伝えるよう命じました。
眠りの神ヒュプノスとは次のとおりです。
(ヒュプノスの息子たち)
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ヒュプノスはその役を息子モルペウスに命じました。
モルペウスはケユクスの姿でアルキュオネの夢に現れ、事実を告げます。
カワセミになった夫婦
アルキュオネが悲しみながらケユクスを見送った浜辺に行くと、そこにはケユクスのなきがらが流れ着いていました。変わり果てた姿となっても、愛する妻のもとに帰ってきたのです。それを見たアルキュオネは、悲しみのあまり海に身を投げました。
全能神ゼウスは愛し合う2人の様子を見て、アルキュオネとケユクスを美しいカワセミに変えてやりました。カワセミに姿を変えた2人は再び仲睦まじく暮らしました。
カワセミは、冬至の前後の2週間、海の浮巣で卵をかえします。この間、海の神アイオロスは海に吹く風を静め、娘が無事に卵をかえせるよう見守っているのだと言われています。この時期のことを「ハルシオン(アルキュオン)デイズ」と言います。この言葉はまた、「のどかな日々」「穏やかな日々」という意味を表し、睡眠導入剤「ハルシオン」という薬の名前もここからきているとされています。