ギリシャ神話のカリストとは?

今回は星座おおぐま座にまつわる神話を紹介したいと思います。おおぐま座、そしてこぐま座にはある悲しい母子の物語があるのです。

大熊のもとは、月の女神に仕えるニンフ、カリストだった

星座になった大熊のもとは、カリストというニンフの女性でした。

カリストについては次のとおりです。

  • アルカディア王リュカリオーンの娘
  • 月の女神アルテミスに仕えていたため、純潔であることを女神に誓っている

ちなみに、カリストの父リュカリオーンは全能神ゼウスを疑い、試した罰でにされています。

月の女神アルテミスは純潔を守る女神であり、それを自分の従者たちにも守らせていました。カリストもその中のひとりで、アルテミスのことをとても尊敬していました。

あるとき、全能神ゼウスが美しいカリストに目をつけます。しかし、純潔の誓いがあるために、普通には近づけません。そこでゼウスは、アルテミスに姿を変えカリストに近づきます。そしてそのまま彼女はゼウスの子を身ごもります。カリストは悩み、主君であるアルテミスにそのことは黙っていましたが、アルテミスと一緒に水浴びをしていた際、アルテミスがカリストのお腹のふくらみを見て気づき、カリストを追放します。

カリストその後お腹の子を出産しますが、追い打ちをかけるようにゼウスの妻ヘラがカリストに嫉妬して彼女を熊に変えてしまいます

カリストと息子アルカスの再会

カリストの産んだ子どもは男の子で、名をアルカスと言いました。アルカスは賢い青年に成長し、人々に麦の栽培や麻布の織り方など教えました。彼はアルカディア人の始祖とも言われています。

そんな彼が、ある時森で狩りをしていると、目の前に大きな熊が現れ、アルカスに向かってきます。その熊は実はカリストで、息子に出会えた喜びで駆け寄ったのですが、アルカスは熊が襲ってきたと思って弓をかまえました。

これを見ていたゼウスは、アルカスの弓が放たれる前に制止し、アルカスも熊に変え、天に上げて星座にしてやりました。これがおおぐま座(カリスト)とこぐま座(アルカス)です。
しかし、怒りがおさまらないのはヘラです。彼女は養父母であるテーテュスにおおぐま座とこぐま座が海につかって休めないようにするよう頼みました。そのため、この2つの星座は1年中空をめぐり続けるのだといわれています。

ちなみに、惑星の木星(ジュピター、英名でゼウスのこと)には多くの衛星がありますが、その中の大きな衛星たち(ガリレオ衛星)にはそれぞれ「イオ」「エウロパ」「ガニメデ」「カリスト」と名付けられています。すべてゼウスが恋した者の名前がつけられているのです。衛星は惑星の周りを公転する天体のことですが、カリストをはじめ、イオもエウロパもガニメデも自分から望んでゼウスの傍に行ったわけではないのに(しかもカリストとイオはそのおかげでヘラの怒りを買い、大変な目にあっている)、そのネーミングがやめてー!と言うかもしれないですね。

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