ギリシャ神話の洪水神話

ギリシャ神話の大洪水が起こるまで~青銅の時代のおわり~

旧約聖書の「ノアの方舟」をはじめ、神話や伝承には大洪水の伝説が数多くあります。

  • 旧約聖書の「ノアの方舟」
  • インドの「マツヤ神話」
  • バビロニアの「ギルガメッシュ叙事詩」
  • シュメールの「神話」

いずれも、神(神々)が起こす大洪水が一旦すべての生物を流し去り、洪水が起こることを予め知らされていた一部の人(人々)のみ生き残り、そこからひとの新しい歴史が始まる、といったストーリーです。
紀元前3000年ごろのメソポタミアで起こった大洪水の記録であると言われています。

ギリシャ神話にも同様に「洪水神話」があります。
今回はそれをご紹介したいと思います。

洪水を起こしたのは、全能神ゼウスです。
どうしてゼウスが洪水を起こしたのか、それはその当時のひとの行いがゼウスにとっては目に余るようになってきたからでした。
ギリシャ神話では、ひとの時代は5時代に分けられます。

神とひとの関係 環境・生活 支配者
黄金の時代 神とひとはいっしょに地上で過ごす

常春の気候。

土地も豊か。

ひとは悩みもなく至福の時を過ごす。

クロノス
銀の時代 神が地上を去っていく 厳しい気候の変化。

ひとは愚かなこころを持ち、寿命は短い。

神を敬わない。

ゼウス
青銅の時代 神とひとは別々 青銅を利用して、武器や道具が作られる。

青銅を利用して、武器や道具が作られる。

英雄の時代 大洪水を生き延びたデウカリオンとピュラーが石から新しいひとを生み出した。

神とひととの交わりから英雄が生まれる。

激しい戦争が起こり、英雄の時代は短い。

鉄の時代 ひとは嫉妬深く、貪欲で無恥。

常に労役と苦悩に苛まれる。

現在まで続く。

大洪水は、ゼウスが青銅の時代を終わらせるために起こしたと言われています。

ギリシャ神話の大洪水の生存者~デウカリオンとピュラー~

大洪水の起きる前、青銅の時代においても、節度を持って国を治め、神を敬う事を忘れない生活を送っていたのが、デウカリオンと妻のピュラーでした。
デウカリオンとピュラーについては次の通りです。

  • デウカリオン:プロメテウスの子ども
  • ピュラー:エピメテウスとパンドラの子ども
  • いとこ同士の結婚

ゼウスが大洪水を起こすことを決めたことを、プロメテウスが知り、デウカリオンらに伝えます。デウカリオンは、方舟を作成、必要なものを乗せて乗り込みます。
洪水は9日9夜続いたといいます。ゼウスは、「正しい男女」だけが生き残ったことを確認すると、水を引かせます。方舟はパルナッソス山の山頂にたどり着きました。
パンドラは好奇心のために世界に災いを広めてしまったという愚かさを持っていましたが、娘のピュラーは「正しい女性」と神に認められる人格を持っていたことが意外で面白いです。

漂着したふたりは、神々にまず感謝の祈りを捧げました。すると、「汝らの母の骨を、後ろに捧げよ」という声が聞こえました。ふたりは「母」は母なる大地ガイアであり、「母の骨」は石だと理解してそれぞれ石を後ろに向けて投げました。するとそこから、新たなひとが生まれたといいます。
また、デウカリオンとパンドラには数人の子どももできました。長男のヘレンは「ギリシア人の祖」だと言われています。

ギリシャ神話の大洪水、実は他にも生存者がいた?~メガロスなど~

この大洪水の生存者は、デウカリオンとピュラーだけ、とされていますが、実は他にも生存者がいるという神話があります。
その他の生存者については、次のとおりです。

  • ゼウスの息子、メガロス:寝ているところを鶴の声に起こされ、ゲラニア山まで導かれ、生き残る。
  • ペーリオンのケラムボス:ニュンペーたちにカブトムシに姿を変えられ、パルナッソス山頂まで飛んで助かった。
  • ポセイドンの息子、パルナッソスとその住民:狼の吠える声に目を覚まし、パルナッソス山頂に逃れた。

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