星座にまつわる神話(その2)

星座にまつわる神話(その2)

★星座「蟹座(6/22-7/22生まれ)」のギリシャ神話

蟹座は、ヘラクレスが12の功業の中で、ヒュドラと戦った際、ヒュドラに加勢しようとして踏み潰された大蟹のカルキノスが元になったと言われています。

ゼウスと人間の間に生まれたヘラクレスは、ゼウスの正妻である結婚の女神ヘラに憎まれ、ヘラの策で自分の子どもを火に放り込んでしまいます。その罪滅ぼしに行った「12の功業」の中に、ヒュドラ退治がありました。

ヒュドラはレルネーに住む9つの頭を持つ蛇の怪物で、泉に猛毒を流して人々を困らせていました。ヒュドラの首は切ってもすぐに再生するのでヘラクレスはかなり苦戦しましたが、甥のイオラーオスにヒュドラの首を斬るたびに傷口を松明で焼かせて再生しないようにして戦いました。

その戦いを、ヒュドラの友人の大蟹のカルキノスが見ていました。ヒュドラが劣勢になったのをみて、ヒュドラに加勢しようとヘラクレスに近づきますが、すぐに踏み潰されてしまいました。
ヘラクレスを憎んでいるヘラは、このカルキノスの友情と勇気をたたえてカルキノスを星座にあげました。

他の説では、カルキノスは魔獣コレクターでもあったヘラがヘラクレスの足を切ろうと送り込んだ怪物でしたが、すぐに踏み潰されてしまい、哀れに思ったヘラが星座にしてやったとも言われています。

★星座「獅子座(7/23-8/22生まれ)」のギリシャ神話

獅子座はネメアの獅子がもとだと言われています。
昔ネメア(ギリシャの南部、ペロポネソス半島北東部)の森に人食い獅子が住んでいて、人々に恐れられていました。このネメアの獅子は、怪物テュポーン(あるいはオルトロス)とエキドナの子どもで、武器を通さない鋼の身体を持っていました。

ちょうどその頃、英雄ヘラクレスは、ゼウスの正妻で、神々の女王であるヘラに憎まれ(ヘラクレスはゼウスと人間の女性との間に生まれた子どもだった)、彼女の策で自分の子どもを火に放り込んでしまい、その罪滅ぼしのための「12の功業」を始めたところでした。その功業のひとつめの試練としてこのネメアの獅子退治をミュケーナイ王エウリュステウスに命じられました。

ヘラクレスはネメアの獅子に対して、矢で射ようとしますが効きません。最終的には素手で戦うしかなく、三日三晩、この獅子の首を絞め続けてようやく退治しました。
これを見ていたヘラは、獅子の健闘をたたえて星座に上げてやったと言われています

★星座「乙女座(8/23-9/22生まれ)」のギリシャ神話

乙女座には他の星座のように、誰か乙女が星座にあげられたという神話は残っていないようです。
星座図の絵を見ると、乙女は麦の穂と葉を持っています。ここから推測するに、3つの説があります。

1.アストライアという説
正義の女神アストライアは全知全能の神ゼウスと2番めの妻掟の女神テミスの娘と言われています。アストライアとはギリシャ語で「星乙女」という意味です。

昔、神々と人間が同じ地上で暮らしていました。しかし人間は愚かにも争ってばかり。神々はひとりまたひとりと地上を去っていく中、アストライアだけは残って人間に正義を説き続けました。しかし最終的にはアストライアも人間に失望し、天に登って星座になり、手に持っていた天秤はてんびん座になったという説があります。

2.デメテルという説
豊穣の神デメテルは農耕の神クロノスとレアーの娘です。

デメテルは、エレウシスの王子トリプトレモスに穀物(麦)を蒔いて農耕を広めるように言ったと言われています。

3.ペルセフォネーという説
ペルセフォネーはデメテルの娘です。冥府の王ハデスに見初められて冥府にさらわれてしまいます。デメテルは放浪の末に娘を見つけ、ゼウス(ペルセフォネーの父でもある)に頼んでペルセフォネーを返してもらうように言います。

ハデスもゼウスの言うことには逆らえませんが、ペルセフォネーを諦めることが出来ず、彼女に冥界のザクロを食べさせます。冥界の食べ物を口にしたものは冥界から出られないという掟があるため、ザクロ4粒分(4ヶ月)冥界で過ごすことになりました。その間はデメテルは悲しみに暮れるために穀物は育たず、これがとなり、この間は乙女座が天に上がらないのです。

3つの説はどれも確証はないようです。

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