ギリシャ神話のムーサイとは?

ギリシャ神話のムーサイとは、芸術・学問の神

ギリシャ神話のムーサイとは、次のとおりです。

  • 現在では、音楽の神、詩神とされることが多いが、もとは広く芸術、学問、文化、平和の神
  • ムーサイは全部で9柱
  • 「ムーサイ」は複数形。単数では「ムーサ」。
  • 父:全能神ゼウス、母:ムネモシュネ(記憶を神格化した女神)

全能神ゼウスは、9日間連続してムネモシュネのもとに通い、9人の娘が生まれました。それがムーサイです。彼女らは、ひとが苦しみを忘れられる存在として生まれたと言われています。

彼女たちは、芸術家に霊感を与えると同時に、おごれる芸術家に罰を与えることもあります。
その例を2つ紹介します。

ピーエリア王の9人の娘、ピーエリデスはムーサイに歌勝負を挑んで完敗します。ムーサイはさらにピーエリデスの傲慢さを罰するために、彼女らをおしゃべりなカササギにかえてしまいました。

トラキア(バルカン半島南東部)の吟遊詩人でリラ(竪琴)の名手でだったタミュリスは、ムーサイ9柱全員を自分のものにしようと、音楽勝負をムーサイに挑みます。しかし、結果は完敗。おごった罰として、タミュリスは視力と声と、リラの技術を奪われました。音楽的才能を奪われたタミュリスは、リラを川に捨てました。それにちなんでその川の名は、バリュラ(Balyra)川と言われるようになりました(Bal:投げる+lyra(リラ))。さらにタミュリスは、冥界の更に奥、タルタロスに落とされたとも言われています。

ギリシャ神話では「ムーサイ」英語名は「ミューズ」

「ムーサイ」の英語名は「ミューズ」です。このミューズを語源とした言葉が多くあります。

  • music(ミュージック):音楽
  • amusement(アミューズメント):技芸
  • museum(ミュージアム):博物館
  • mosaic(モザイク):建築物などの装飾。石・ガラス・貝殻・木などの小片を寄せて作る模様。

このように現在も、身近な言葉にムーサイが関わっています。

9人のムーサイの担当や見分けるポイントは?

はじめムーサイは芸術活動一般を司る女神でしたが、ローマ時代に特定の分野がそれぞれのムーサに割り当てられたようです。

担当分野や特徴は、次のとおりです。

名前 担当分野 持ち物 備考
カリオペ  英雄たちの勝利を謡う叙事詩

弁活

書板と鉄筆 ムーサイの中で最も賢い。

オルフェウス(オルペウス)の母

クレイオ 歴史 巻物 「クレイオ」はラテン語で「祝福する」という意味
エウテルペ 抒情詩 笛(フルート)
タレイア 仮面劇(喜劇) 仮面、蔦の冠、羊飼いの杖
テルプシコラ 合唱、舞踊 竪琴 セイレーンの母(注)
メルポメネ 悲劇、挽歌、

楽器リラ

仮面、ぶどうの冠、靴 セイレーンの母(注)
エラト 独唱歌 竪琴
ポリュヒュムニア 賛歌、雄弁 なし 「ポリュヒュムニア」は「多くの歌」という意味。

たいへん厳格な神。

優れた作家に名声を運ぶ。

ウラニア 占星術、天文 杖 コンパス、天球儀

(注)セイレーンの母として、テルプシコラ、メルポメネ両方の伝承がある。

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