ギリシャ神話のアポロンとは

ギリシャ神話のアポロンとは?

ギリシャ神話のアポロンの特徴は次のとおりです。

・オリンポス12神のなかの1柱
・予言・牧羊・音楽・医療・弓矢、疫病の神、光明神(太陽神)
・父:ゼウス(全知全能の神)
・母:レートー(ティターン神族)
・きょうだい:アルテミス(双子のきょうだい、月の女神)
・子ども:アスクレピオス(テッサリアのラピテース族の王プレギュアースの娘コローニスとの子、医学の神)

ギリシャ神話のアポロンとヘリオスの関係

ギリシャ神話には、「太陽神」として、ヘリオスとアポロンがいます。この2人の関係はどういうものなのでしょうか?

ヘリオスは、ティターン神族のヒュペリオンの子どもだとされています。ヒュペリオンとヘリオスはともに「太陽神」と言われています。(ヒュペリオンはヘリオスの呼称としても用いられ、もともとヒュペリオンはヘリオスの別名であるという説もある)

血統的にはヒュペリオンやヘリオスのほうが先なのですが、最終的に、太陽神は、光明神アポロンに習合されています。歴史的には、もともとのギリシャ原住民の神に、ギリシャに侵攻してきた民の神や、文化的に流入した神が加わり、さらに、重複する役割の神が最終的にまとめられ、「太陽神=アポロン」になったものと思われます。

ギリシャ神話のアポロンとカサンドラ

アポロンの父であるゼウスは、好色で、あちこちに子どもがいます。しかし、アポロン自身は、悲恋が多いように思われます。

ダプネの神話」では、アポロンの恋い焦がれた相手が、アポロンから逃げ切るために月桂樹の木に姿を変えてしまいます。

また「コローニスの神話」では、恋人コローニスの監視をしていたカラスから、コローニスが他の男ともつながっていることが報告されます。それをきいたアポロンは怒りのために、妊娠した恋人を罰します(この時妊娠していたのが後の医療の神アスクレピオス)。

今回はその中でも、「カサンドラの神話」を紹介します。「カサンドラ」の名前は、自閉症スペクトラム障害の方のパートナーにおこりやすい「カサンドラ症候群」という心身症状の名前にも使われています。

カサンドラはトロイアの王女でした。アポロンに愛され、恋人になってくれるなら予知能力を授けようと言われ、受け入れます。しかし予知能力を授かった瞬間、アポロンの自分への愛が冷め、去っていく未来が見えてしまい、アポロンを遠ざけます。それに怒ったアポロンは「カサンドラの予言を誰も信じないように」という呪いをかけます。その後、カサンドラがトロイア戦争について予言しても誰も信じず、トロイア軍は敗戦してしまいます。

自閉症スペクトラム障害は、一見何の問題もなく見えても、共感性などの社会性に問題があり、情緒的な相互関係を築くことが難しい障害です。

自閉症スペクトラム障害の方のパートナーや恋人、家族は、自閉症スペクトラム障害の方との情緒的な繋がりにくさを、なかなか周りに理解してもらえません。その結果、精神的に疲弊し、不安障害やうつに発展してしまうことがあります。この状態を、自分の予言を伝えても信じてもらえなかったカサンドラにちなんで「カサンドラ症候群」と名付けられました。

以前は「鏡症候群」と言われていたようです。しかし、周りに理解てもらえない孤独感や辛さについて、カサンドラの名をつけることで、よく、理解されるようになりました。最近では、カサンドラ症候群の方の体験をもとにした、エッセイや漫画、ブログなども増え、認知度も上がっています。

このように、ギリシャ神話が、現在の私達の精神状態の表現にも、生かされています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする