ギリシャ神話のメディアとは?

ギリシャ神話のメディアは悪女?一途な女性?

ギリシャ神話を代表する悲劇の一つ「メディア」。日本でも舞台化などされている有名な物語です。
この悲劇の主人公、メディアとは次のとおりです。

  • コルキスの王女
  • おばである魔女キルケに師事し、魔術が得意
  • 女神ヘラのはからいで、英雄イアソンを愛し、魔術で助ける

メディアの選択や行った魔術は「悪女」と言われても仕方がないほどの残酷さがあります。しかし、メディアの深い愛を想像すると、単なる残酷な女性とだけでは済まない切なさや悲しさがあります。

メディアの物語の始まりは、英雄イアソンがイオルコスの王位奪還のため、コルキスの国宝「金羊毛皮」を奪いに来た時に始まります。イアソンに対して、メディアの父であるコルキス王アイエーテスはイアソンに難題を課します。イアソンを加護していた女神ヘラが、王女メディアがイアソンに恋するようアフロディテに依頼し、アフロディテは息子エロスの恋の矢でメディアを射させます。恋するメディアは、父の思惑を裏切り、イアソンのために得意の魔術を使って、難題のクリアに力を貸し、その後イアソンとともに祖国を離れます。コルキス軍の追手が迫りますが、メディアは実の弟アプシュルトスを囮にして、逃げ切ります。

その後、弟の命を奪った罪を清めるためにおばである魔女のキルケの元を訪れたり、まだメディアを追ってくるコルキス軍を振り切り、その途中にイアソンと結婚し、息子ももうけます。

ようやく、イアソンがイオルコスにたどり着き、イオルコス王に金羊毛皮を見せますが、王位を譲りません。そこでメディアは、イオルコス王の娘たちに、魔術で老羊が大釜で煮られて若返る術を見せます。それを見た娘たちは父王を若返らせようと、同じように父を大釜で煮ますが、父王は二度と戻ってきませんでした。こうして、イアソンはメディアのおかげて復讐を果たしますが、このやり方が民の反感を買い、王位はアルゴナウタイ(アルゴノーツ)の一員でもあった、イオルコス王の息子アカストスに譲って、イアソンとメディアはコリントスに向かいました。

英雄イアソンとの別れ、メディアのその後

メディアに多くの難題を助けてはもらいましたが、その行動の過激さに徐々にイアソンの気持ちはメディアから離れていきます。そんな時コリントス王クレオンに歓迎され、王女グラウケとの結婚を提案されたイアソンは、メディアとの別れを決断します。

メディアは納得するはずもなく、毒薬を染み込ませたドレスを王女グラウケに結婚祝いとして送り、それをグラウケが身に着けた途端、炎に包まれ、グラウケを救おうとしたクレオンもともに命を落とします。さらにメディアはイアソンとの間に生まれた子どもにも手をかけます。イアソンは深い悲しみに苛まれながらも、その後長くコリントスを治めたと言われています。

その後、メディアはアテナイに行き、テセウスの父であるアイゲウス王のもとに嫁ぎ、子どもも生まれます。アテナイ女王として過ごす、メディアの生活に変化が現れたのは、アテナイに、テセウスが帰還した時です。正当な王位継承者であるテセウスが戻ってくることで自分の地位が脅かされると思ったメディアは、王に「テセウスは王位を脅かす者だ」と吹込み、毒入りの杯をすすめようとします。しかしテセウスがその杯を飲む直前、アイゲウス王が自分の息子が持っているはずの剣を持っていることに気づき、杯を叩き割り、メディアの計画は失敗に終わります。

メディアは、息子を連れてアテナイを離れ、最終的には故国コルキスで父王アイエーテスが伯父ペルセース二王座を奪われたと知って、コルキスに戻り、ペルセースを倒して父を再び王位戻しました。息子のメードスは周辺諸国を征服し、メーディアという国をつくったとも言われています。

女神の計で始まった愛のために、家族を捨て、残酷なこともやってのけたメディア。
さらに愛するものに裏切られ、その憎しみのために恐ろしい復讐を果たし、次の人生を歩むメディア。

果たして彼女は悪女なのでしょうか、それとも、ひとりの一途な女性なのでしょうか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする