ギリシャ 神話のアルテミスとは

ギリシャ神話のアルテミスとは

ギリシャ神話のアルテミスについては次の通りです。

・オリュンポス12神の1柱
・同じオリュンポス12神アポロンとは双子
・狩猟・純潔・月・出産の女神
・「知略の女神アテナ」「炉の女神ヘスティア」とともに「3大純潔を守る女神」のひとり

月の女神については、アルテミスは、月の女神セレネーと同一視されるようになり、月の女神とされました。アポロンが太陽神ヘリオスと同一視されるようになったのと、同じです。

また、アルテミスという名は、古典ギリシア語を語源としていません。そのため、アルテミスは、本来古代ギリシャ固有の女神ではなく、ギリシャの先住民族の信仰を、古代ギリシャ人が取り入れたものと考えられています。

「純潔を守る」とは、男性との経験がないという意味で捉える説と、男性に従属する必要がない、または性質上結婚が不可能であり「未婚の女神」という意味で捉える説があるようです。しかし、アテナもヘスティアもアルテミスも、よく耳にする神話では、「純潔を(かたくなに)守る」イメージが強いです。

ギリシャ神話のアルテミスの恋-オリオンの神話

ギリシャ神話のアルテミスの神話には、純潔を守り、それが破られた時に相手に重い罰を与えるものがいくつかあります。しかし、オリオンとアルテミスの神話は、その中では異彩を放っています。なにしろ、アルテミスがオリオンに恋をしてしまうのです。

オリオンは、ポセイドンの息子との一説もあり、海の中を歩くこともできました。オリオンは狩猟がうまく、その点でアルテミスをうまがあい、二人は恋仲になります。しかし、それがおもしろくないのは、弟の太陽神アポロン。オリオンのもとにサソリを送り込み、オリオンは海に逃げます。海から頭だけ出して逃げているオリオンをさして、アポロンはアルテミスに「いくら君が弓の名手でも、あの海に浮かぶ遠くの丸太を射ることはできないだろう」といいます。

アルテミスはそれが恋人オリオンだと気づかす、挑発に乗って射抜いてしまいます。その後浜に打ち上げられたオリオンの亡骸を見て、アルテミスは真実を知り、嘆き悲しみます。父であるゼウスに頼み込んで、オリオンを星座にしてもらい、アルテミスは銀の車に乗ってオリオンに会いに行くのだといいます。また、オリオン座は冬の星座ですが、オリオンを襲った蠍座は夏の星座です。星になってなお、オリオンはサソリから逃げているのです。

ギリシャ神話のアルテミスとアルテミス信仰とは同じ?別物?

ギリシャ神話のアルテミスとはまた違った性質をもったアルテミスを信仰する風習が小アジア(現トルコ西方)にありました。トルコのエペソスにある、世界七不思議の一つと言われるアルテミス神殿はパルテノン神殿を凌ぐ規模だったようです。

しかしここで崇められていたアルテミスは、豊穣・多産の女神で、アルテミスの石像は数多くの乳房が全身についています。ギリシャ神話で「純潔の女神」とされるものとは全く違うイメージの女神です。もともと小アジアで土着していたアルテミス信仰を、この土地がギリシャ人の土地となった後に、アルテミスをギリシャ神話で神々の王であるゼウスの子どもと位置づけることで吸収し、その存在が継続されました。神話も単に人知を超えた「物語」というわけではなく、政治的な情勢を反映していると捉えるとまた別の側面が見えてきておもしろいですね。

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