英雄メレアグロスの誕生~薪の火と英雄の命~
ギリシャ神話の英雄メレアグロスとは、次のとおりです。
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カリュドン(ギリシャ西部のアイトーリア地方)の王妃アルタイアがメレアグロスを出産した際、運命の3女神が訪れ、それぞれ1つずつ予言をしました。
《運命の3女神の予言》
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これを聞いたアルタイアは、すぐに燃えている薪を取り出して箱の中に大切に隠しておきました。これが後に、メレアグロスの命を落とす「破滅の松明」となったのです。
英雄メレアグロスとカリュドンの大猪~俊足の狩人との恋~
メレアグロスは予言通り、高貴で強い若者に成長しました。
ある年、カリュドンに獰猛な大猪が現れ、人々はその被害に悩まされていました。
この猪は、メレアグロスの父であるカリュドン王オイネウスがアルテミスへの供物を忘れてしまったために、女神に怒りを買い、送りこまれたものでした。王は困って、猪狩りの勇者を集めます。それにはメレアグロスをはじめ、彼のおじたち、イアソン、テセウスそして美しい女性の狩人アタランテがいました。
俊足で有名だったアタランテは、猪の前に回り込み、弓で猪の動きを止め、そこにメレアグロスがとどめを刺し、2人の連携で猪を退治しました。
メレアグロスは美しいアタランテに恋し、勝利の証である猪の牙と毛皮を彼女に捧げます。そのことを不満に感じたおじたちとメレアグロスとの間で喧嘩となり、おじたちは命をなくしてしまいます。
メレアグロスの母であるアルタイアは、兄弟の訃報にショックを受け、メレアグロスの命と運命をともにするあの薪を火にくべて燃やしてしまいます。その火が消えるとともに、メレアグロスの命の火もまた消えてしまいました。息子の運命に深く悲しむオイネウスをみて、アルタイアは激しい後悔と自責の念にさいなまれ、自らも果てました。
メレアグロスを失ったアタランテの後日談ですが、彼女はその後誰とも結婚しないと誓います。しかし、美しい彼女には求婚者は後をたちません。そこで、アタランテは自分と走りの勝負をして買ったものと結婚する、とし、ことごとく勝利していきます。
ヒッポメネスも彼女に求愛した一人でした。ヒッポメネスはケイローンの弟子です。彼は他の求愛者と違い、勝負の前に一計を案じていました。事前に愛の神アフロディテの力を借りて、3つの黄金のリンゴを授けられ、競争に挑みました。
彼は、競争中に、黄金のリンゴを投げながら走りました。アタランテがそのリンゴに目を奪われている間にゴールしたのです。勝負に負けたアタランテは、ヒッポメネスの妻となりました。