ギリシャ神話に登場する怪物とは?
ギリシャ神話に登場する怪物ー最大最強の怪物、テューポーンとその一族
テューポーンは大地の女神ガイアに生み出された怪物です。その体は、巨大で頭は天の星に届き、腕を伸ばせば世界の端にまで届くほど、上半身は人間だが、下半身は毒を持った大蛇がとぐろを巻いた姿だと言います。
テューポーンが生み出された経緯には、2度に渡る神々の世代交代の戦争「ティタノマキア」と「ギガントマキア」でゼウスらオリュンポスの神々がが2連勝し、思い上がっていたことがあります。前代の王クロノスの代を終わらすべく、ゼウスらに力を貸してきたガイアですが、その2つの戦いで破れた側は自分の子どもでもあるため、戦いのあとの処遇が気に入らず、ゼウスらに対してテューポーンを送り込んだのです。
テューポーンにはオリュンポスの神々も苦戦し、皆恐れをなしてエジプトまで動物に化けて逃げていきました。ゼウスは途中で踏みとどまり、テューポーンと対峙しますが、途中でテューポーンに足の腱を切られ、洞窟に閉じ込められます。それを知ったヘルメスとパーンはゼウスを救い出し、ゼウスはふたたびテューポーンに戦いを挑み、運命の女神たちの策にテューポーンがはまったこともあって、ゼウスが勝利し、エトナ山に封印されます。
最終的には倒されてしまいますが、一度はオリュンポスの神々を恐れさせ、ゼウスを捕らえるなど、最強の名にふさわしい怪物であったと思われます。
テューポーンの妻、エキドナ
テューポーンの妻であるエキドナとは、上半身は美しい女性で下半身は蛇、背中に翼が生えた怪物です。エキドナとは「マムシの女」という意味です。出自については、クリューサーオールの子であるという説(つまりはメデューサの孫)、大地の女神ガイアとタルタロスの子どもという説、ポルキュースとケートーの子(つまりはメデューサときょうだい)という説など諸説あります。
元はスキタイ(ウクライナを中心に活動していたイラン系遊牧騎馬民族・遊牧国家)地方で崇拝されていた女神が、ギリシャの支配のうちにギリシャ神話の中に、怪物として取り込まれたようです。
エキドナはテューポーンとの間に多くの怪物を産みます。子どもたちには有名所の怪物が多くいます。また、テューポーンが封印された後は、実子である魔犬オルトロスやヘラクレスとの間にも子をもうけます。
テューポーンとエキドナの子どもたち
テューポーンとエキドナの子どもたちのうち、有名な6匹を紹介します。
- ケルベロス:冥府の番犬。3つの頭を持つ。実は甘いものに弱い。
- オルトロス:三頭三体の怪物ゲーリュオーンの飼う双頭の魔犬。牛の番犬をしていた。
- ヒュドラー:9つの頭を持つ大蛇。その首は切っても傷口から新しい2本の首が生えてくる。ヘラクレスの12の功業のひとつとして退治された(が、従者の手助けがあっての退治だったため、功業にはカウントされなかった)
- ラードーン:黄金の林檎を守る怪物。100の頭を持つと言われる。ヘラクレスの12の功業の一つで倒された。
- デルピュネー:上半身は人間の女性、下半身は蛇またはドラゴン。ゼウスとテュポーンが戦いでテュポーンが勝利し、ゼウスを幽閉した際に見張りをしていた。
- キマイラ:ライオンの頭とヤギの胴体、毒蛇のしっぽを持つ怪物。口から火炎を吐く。