星座にまつわるギリシャ神話(その3)

星座にまつわるギリシャ神話(その3)

今回は星座にまつわるギリシャ神話のその3です。

★星座「天秤座(9/23-10/23生まれ)」にまつわる神話

天秤座は、正義の女神アストライアがもっている天秤がもとになっていると言われています。
正義の女神アストライアは、手に持っている天秤でひとの善悪をはかることが出来ました。

昔、農耕の神クロノスが統治していた頃、神々と人間は同じ地上で暮らしていました。気候は穏やかで、食べ物にも困らず、争いごとのない世界でした。この時期を「黄金時代」と言います。

やがてゼウスが世界を治めるようになり、四季を作りました。これで人は食べ物を確保するために働き、寒さ暑さを凌ぐための住居を持たなければならなくなりました。これが「銀の時代」です。

しかし次の時代になると人々は争い、戦争が起こりはじめました。神々の中には人間の行いに失望して地上からどんどん去っていきました。正義の女神アストライアはそれでも人とともにいて、正義を説き続けました。これが「青銅の時代」です。

アストライアの努力は虚しく、人々は更に欲深く、争いも絶えなくなります。これが現在、「鉄の時代」です。ついにアストライアも失望し、地上を後にします。

彼女がもっていた天秤が天に上がり、てんびん座となったのです。また、天秤座のすぐ近くに乙女座がありますが、この乙女はアストライアだとも言われています。

★星座「蠍座(10/24-11/22生まれ))」にまつわる神話

蠍座は、狩りの名手で、月の女神アルテミスの恋人でもあったオリオンを襲った蠍が星座になったと言われています。

オリオン(ポセイドンの子どもで巨人。かなりの美男子だったと言われています)は狩りの名手で、同じく狩りの名手と言われる月の女神アルテミスと恋に落ちます。しかし、アルテミスは、三大処女神の一人だったので、男性と交際することを兄である太陽神アポロンは非常に心配していました。

アポロンは一計を案じ、オリオンのもとに一匹の蠍を送り込みます。オリオンは驚いて、海に逃げます。オリオンはポセイドンの息子なので、海は彼の領域です。かなり沖まで逃げましたが、オリオンは巨人なので頭だけ海の上に出た状態でした。

その状態になったのを確認して、アポロンは妹のアルテミスに「君は狩りの名手だと言うけど、本当にそうかな」とけしかけます。アルテミスは怒って、自分は何でも射抜くことができると言い返します。そこでアポロンははるか沖を指して、「ではあの海に浮かんでいるものを射れるかな?」と言います。アルテミスは自慢の銀の矢でアポロンを指したものを射抜きます。それが恋人オリオンの頭であることを知らずに。

次の日、海に打ち上げられたオリオンの亡骸を見てアルテミスはすべてを悟ります。父であるゼウスは娘をかわいそうに思って、オリオンを星座にしてあげました。その時、蠍もともに天に上がり、蠍座が天に上がっている間はオリオン座は沈んでいて、蠍座が沈むとオリオン座が上がって、天上でも追いかけっこをしているのです。

★星座「射手座(11/23-12/21生まれ))」にまつわる神話

射手座は、ケンタウロス族のケイローンが弓をひいいている姿がもとだと言われています。

ケンタウロス族とは、半人半馬の生物です。この一族の始まりは、農耕神クロノスが妻がいながらピリュラーののもとに行くために馬に変身し、そのまま結ばれたため、半分人間、半分馬の姿になったという説があります。その性質は、多くが野蛮であるとされますが、ケイローンは例外でした。

ケイローンは、アルテミスに狩猟を習い、アポロンには音楽、医学、予言を学び、それをヘラクレス、アキレス、カストール、イアーソンらの師となり、アスクレーピオスには医術を教えました。

しかしある時のこと、ヘラクレスとケンタウロス族たちが酒のことで口論となりましたが、ヘラクレスが優勢で、思わずケンタウロスたちはケンタウロス族の賢者であるケイローンのもとに逃げ込みました。ケイローンがヘラクレスの師であることもあって助けを請いに行ったのかもしれません。

ヘラクレスがそこに現れると、ケンタウロスたちに向かってヒュドラの猛毒を塗った矢を放ちました。それが運悪くケイローンにあたってしまいます。ケイローンは神の子であるため、不死です。毒に苦しみながら生き続けることになります。

ちょうどそのころ、人間に火を与えた罪で、ティターン一族の1柱プロメテウスが、刑期3万年の間、山に繋がれ延々と鷲に肝臓をついばまれる刑を受けていました。プロメテウスは、彼のために不死を放棄するものが現れない限り解放されないという約束でした。

ヒュドラの毒を受けたケイローンが自らの不死をプロメテウスのために放棄したためプロメテウスは解放されました。(しかし、ケイローンが不死を放棄する前に、ヘラクレスがプロメテウスを解放しているという説もあり、時系列に矛盾があります)ケイローンを哀れに思ったゼウスが彼を星にあげ、射手座になったと言われています。

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