ギリシャ神話の復讐の女神エリニュスとは?

ギリシャ神話の復讐の女神エリニュスとは?

ギリシャ神話の復讐の女神エリニュスとは次のとおりです。

・復讐の女神は3柱
・ティタン神族。
・名前は、アレクト、ティーシポネ、メガイラ
・クロノスがウラノスを襲った際、ウラノスの傷口から出た血が大地(女神ガイア)に染み込み、そこから生まれた。
・髪は無数の蛇で、黒い翼があり、黒い衣をまとい、手には鞭や松明を持っている。
正義と秩序を守り、それらを破るものを罰する。
・特に血族間の侮辱や暴行、殺人を犯したものを許さない。
・冥界のエレボスに住んでいる。

「復讐の女神」というと、「リベンジ」や「仕返し」というイメージですが、エリニュスは正義と秩序を守るために存在しています。特に古代文明では血縁関係を重視する文化だったので、血縁間の侮辱、暴行、殺人は重罪でした。エリニュスは、この血縁関係の罪を執拗に追求し、厳罰すると言われています。

復讐の女神3柱は、

アレクト:止まらぬ女
ティーシポネ:殺戮の女
メガイラ:妬む女

アレクトーが止まらないのは「怒り」であり、道徳的な罪全般を罰する女神です。
ティシポネは、その名の通り、「殺人」の罪を罰する女神です。
メガイラは、「嫉妬や妬み」を司る女神と言われており、不倫や姦通、嘘や窃盗を罰する女神です。
これら3つの罪を担当する女神の性質から、古代ギリシャ人のひとつの価値観を垣間見ることができます。

復讐の女神エリニュスのギリシャ神話

エリニュスが登場するギリシャ神話の中で有名なのは、「アトレウス王家の悲劇」「オレステス」の物語です。
オレステスとエリニュスの神話は次のとおりです。

《登場人物》

  • アガメムノン:アトレウス王家。ミュケナイ王。トロイヤ戦争の総指揮者。
  • リュタイムネストラ:アガメムノンの妻。アガメムノンに前夫と子どもの命を奪われている。
  • イピゲネイア:アガメムノンの娘。
  • エレクトラ:アガメムノンの娘。
  • オレステス:アガメムノンの息子。
  • アイギストス:クリュタイムネストラの愛人。

《あらすじ》

  1. アガメムノンは、トロイア戦争に出陣するが、以前、彼がアルテミスの聖なる鹿を仕留めたことが原因で、海は無風状態で船が出航できず
  2. その怒りを解くには、イピゲネイアを生贄にしなければならないと神託を受ける。
  3. アガメムノンは、妻と娘を騙して、英雄アキレウスとの嘘の結婚を理由に呼びよせ、娘を生贄にする。
  4. クリュタイムネストラは、娘を失い、さらにトロイアの王女カサンドラを連れて帰ってきたアガメムノンを許さず、愛人アイギストスとともにアガメムノンを討つ
  5. さらに、復讐を恐れて息子であるオレステスも始末しようとする
  6. オレステスは、エレクトラの導きで生き延びる。
  7. エレクトラは、その罪で7年間幽閉されるが、父の敵討ちを決意し、弟の成長を待つ。
  8. オレステスは父の敵を取るべきかアポロンの神託を受け、仇討ちを決意
  9. アイギストスとクリュタイムネストラに復讐を遂げる
  10. その後、クリュタイムネストラの亡霊とエリニュスに付きまとわられ続ける
  11. 仇討の神託を授けたアポロンがオレステスの味方となり、弓で亡霊を追い払う
  12. アテナが協力して、アレスの丘の裁判が行われ、オレステスの罪は許される
  13. オレステスはミュケナイに戻り、王位を取り戻す

しかし、エリニュスは、この判決を不服とします。アテナは彼女らをなだめるために、「慈しみの女神エウメニデス」の地位と、アテナの治めるコロノスの森に神域を与え、エリニュスもようやく気をおさめたと言われています。

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